Shonan BeachFM 78.9
Friday 19:00-19:30
www.kamacon-radio.com

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困ったときは「お願い」「助けて」って言える社会へ

YUKAFUMI
代表 阿部 文彦

♪ PLAY ♪
 

葉山で天国と地獄を見た男

桑畑
それでは早速本日のゲスト阿部文彦さんです。
ここからは”文ちゃん”と呼ばせていただきます! こんばんは!

阿部
こんばんは!よろしくおねがいします。文ちゃんです。

桑畑
文ちゃんが何者かといいますと、3つの仕事ですね?

阿部
はい。

桑畑
ひとつはウェブデザイン。『YUKAFUMI』として奥様と二人で活動されています。
もうひとつはライフデザイン。コーチングですね。
コーチとして活動されていて、最後にラーニングデザイン。
森のリトリート」という森での研修活動の講師をされている。

阿部
おっしゃる通りです。

桑畑
色々とお伝えしたんですが、本日は『葉山で天国と地獄を見た男』というところで、けっこうディーブな話をしていただきます。よろしくお願いします。

阿部
よろしくお願いします。

桑畑
まず、文ちゃんは葉山の生まれ、育ちではなくて引っ越してきたんですよね?

阿部
はい。引っ越してきました。僕は葉山という土地を2年前までまるで知りませんでした。きっかけは、登山家の戸高雅史さんという方に5年前に出会いまして。

桑畑
登山家?

阿部
その方と一緒に野宿をしたんですけど、そのアウトドアの体験が本当に良い体験で、自然観、アウトドア観が一変してしまって、その登山家さんと一緒にキャンプに行くようになったんですよ。
それまで僕は渋谷区に住み、新宿区の都庁の真裏に住んで『利便命』みたいな生き方をしていたんです。アウトドア観が一変してから山とか森にはすごく興味があって、いつかそういう暮らしをしたいなと思って探していました。
山中湖とかちょっと遠いなーとか、八ヶ岳も遠いなーと思っていたとき、2年前に、登山家さんは葉山在住なんですが森戸海岸の岩で岩遊びをしましょうという企画を立ててくれて。

桑畑
岩遊び!?

阿部
そうなんですよ。そのときに初めて遊びにきたんですよ。僕は実はまるっきり泳げなくて、5メートルも泳げないという人生を37年間歩んでたんですが、森戸海岸に来る直前に奇跡的に25メートル泳げるようになったんです。

桑畑
え、そんな・・・目がさめたら泳げるようになるわけじゃないですよね? それなりに苦労されたわけですよね?

阿部
2ヶ月くらいプールに通ってたんですけど、泳げるようになったんですよー!

-桑畑、疑いの眼差し-

桑畑
僕も実は泳げないんですけど泳ぐコツって何かあるんですか?

阿部
コツはですね、みんなの参考になるかわからないんですけど、やっぱり37歳にもなってこれだけできないっていうのは僕にとっては新鮮だったんですよ。小学1年生が「わーっ」て泳いでるのに同じプールで俺だけ泳げないって・・・こんなにできないことがこの歳になってあるんだ!って楽しくて!

桑畑
楽しくて!?

阿部
で、2ヶ月間経ったら泳げたんですよ。

桑畑
毎日プールとかに泳ぎに行ったんですか?

阿部
1週間に1回くらいずつ。それで泳げるようになったんですよ!
で、なったタイミングでたまたま葉山に遊びに来たら海って凄い良い場所だ!と。
こんな良い自然の場所があったのか!と、山とか森以外にも良いとこあったじゃないかと初めて知って、僕はここに住むと思い、1年半くらい前に引っ越してきました。

桑畑
海からどのくらい近いところに住まれてるんですか?

阿部
今は森戸海岸まで徒歩5分くらいですね。

桑畑
じゃあ5分で海の写真が撮りに行ける!

阿部
最高!ほんとに良いところです。

桑畑
毎日?

阿部
毎日行ってます!歩いて。

桑畑
そして、元々やられていたウェブデザインとか、コーチングの仕事の方は?

阿部
おかげさまで。

桑畑
引っ越した直後はどうですか? 上がりました? 順調にいきました?

阿部
そういう意味では引っ越して苦労することもなく順調に仕事もいただいて、逆に葉山に引っ越したと行ったら「良いとこだね!遊びに行くよ」って、コーチングを受けにくるとか、ウェブの仕事のクライアントさんも打ち合わせ行くよって来てくれるので、「これはいいな~!」って。そんな感じです。

桑畑
実は都庁の裏に(住んで)いるときよりも効率が上がっちゃったかもしれないですね。

阿部
ある意味ね! オンとオフが限りなく混ざっていて無駄がないというか、そんな感じですね。

葉山で子宝に恵まれる!

桑畑
そんな文ちゃんに、さらに嬉しい嬉しいできごとがありましたね!

阿部
ありましたね~。子を授かりまして!
葉山に越してきたらちょうど子どもができたとわかって、東京ではなかなか子宝に恵まれずに7年、8年いたので「葉山本当に良いとこだな~!」と思って。

桑畑
本当に素敵な葉山に住めて、仕事も順調で念願のお子様もできた!
その矢先、地獄を見たんですね・・・

-突如、文ちゃんの表情が曇る-

阿部
そうなんですよね。
あのぉ・・・子どもが産まれてまだ2ヶ月経ってなかったんですけれど、自転車で単独で夜にガーーーーっと走ってたら道が階段になってたんですよ。僕は暗くてわからなかったんですよ。

桑畑
けっこう真っ暗だったんですか?

阿部
そうです・・・。そのまま走ってったら、階段のところから空を飛んで落ちた。脚全体が痺れててまるで感覚がないので叫んでいたら、「これは大変だ!」ということで周りの人が救急車を呼んでくれて・・・

桑畑
ありがたいことですねぇ。

阿部
本当に。一人でいたらどうなってたんだろうと思いますね。
大腿骨上部が粉砕骨折で、真ん中が礫説骨折っていうのかな?折れて突き刺さってて。

桑畑
ボロボロになってたわけですね?

阿部
そうなんですよ。2ヶ月間は車椅子で入院生活をしてました。

桑畑
30代で2ヶ月間入院することってなかなかないと思うんですよ。

阿部
なかなかないですね。

-その頃を回想する文ちゃん-

桑畑
どんなこと考えてたんですか?

阿部
痛くて、自分の服を噛みながら叫んでるくらい痛くて。骨をひっぱって伸ばさなきゃいけなかったので手術まで1週間くらい時間があって・・・。

桑畑
うわぁ痛そう!

阿部
その期間が辛くてですね。熱も38度超えるくらい出て。でもね、2日後くらいに登山家さんがお見舞いに来てくれたんですよ。

桑畑
例の人生に影響を与え、葉山へ移住するきっかけをくれた方!

阿部
そう。登山家のマサ(戸高雅史)さんが来てくれて、「ほんと大変だったね! でも文ちゃん。文ちゃんがこうしている間にも、体は刻一刻と細胞レベルでこの世界に適応していってるよ。」って言ってくれたんですよ!

桑畑
ほぉ!それを聴いてどう思ったんですか?

阿部
それを聴いて、僕は意識が変わったんですよ! それまではこんなに熱が出て、1mmでも動いたら体に激痛が走って、どうしたらいいんだ?ってそれに対処するのに精一杯ですよね。
もう一杯一杯だったときにマサさんに言われたら「そっか!」って思って。身体は着実に治ろうとして血液が流れ、止血され、多分何かが行われてるんだなと思ったときに、もっと自分の『生きようとしてる身体』とか、生命エネルギーみたいなものを信用していいんだなぁと思って。それをお見舞いに言われてから気持ちがすっごい楽になりました。

桑畑
楽になったんですか!

阿部
はい。もう自分の身体を信じようって思いましたね。それは大きかったです。入院してまず始めに起きたこと。
良い手術ができて身体は退院して2日後にベッドから初めて這い出れたりとか、身体は少しずつ治ってくなっていう予感はあったんですけど、心配だったのは暮らしの方なんです。

桑畑
暮らし?

阿部
生後1ヶ月半の子どもと妻がいて、しかも葉山に身寄りはないわけじゃないですか。僕は独立して仕事をしているので一切収入のあてもなく・・・。あ、暮らしがまずいなっていうふうに一瞬不安に思ったんですけど、時代の文明っていうか、携帯とフェイスブックに助けられて知っている人達は何でもすると言って、僕は2ヶ月帰れなかったんですけど家にもかなりの人が来てくれて、ごはん作っていってあげるって3日分作り置きをしてくれたりとか、色んな人が来て支えてくれはじめたんですよ。

桑畑
愛されてますね。

阿部
ほんとにほんとに! 当たり前かもしれないんですけど、繋がりが大事だとかよく言うじゃないですか。僕今回ほど実感したことはなくて・・・みんな助けてくれるんですよ!ホントに!
それが起こり始めたときに、僕の妻は『ゆかりん』って言うんですけど「僕ら大丈夫だねー」って。「仕事も全くできないけど、生後2ヶ月の子どもだけど、絶対大丈夫だね」って。何にも代え難い安心感が、この仲間がいれば、ご縁ある人達とのご縁があれば絶対に大丈夫だ。
そう思えたのが、痛かったけど得た体験ですね。

桑畑
ただでは起きないというか、凄いことに気付きましたよね!

阿部
ほんとに繋がりがどれだけ大事か、気付きましたねぇ。

桑畑
ありがたいですね、本当に。

阿部
本当にありがたいです。

-人の温かみを噛みしめる二人-

桑畑
そんな文ちゃんがお世話になった方々に色々と『還元』していかなきゃならないですね。周りの方は「恩返しなんていいよ!」って言われながらも、文ちゃんは恩返ししたいですよね?

阿部
したいです!

桑畑
何でするんですか?

阿部
色々考えてるんですけどあえてこの場で喋れるとすると、僕がひとつ今回のことで学んだなと思っているのが、お見舞いに来てくれた人が逆に「助けてくれ」とか「声をかけてくれてありがとう」って言うんですよ。「支える機会を作ってくれてありがとう」って言うんです。

桑畑
支える機会を? 要するに、文ちゃんのことを支える機会を作ってくれてありがとうって言うんですか?

阿部
そうなんですよ。その人と一回ゆっくりご飯を食べたときに、本当は余力がある人は(人を)助けたいと思ってるんだ、生活に困窮していない人は人に何かしてあげられることが喜びなんだ、と。でもみんな助けてもらうことってとんでもない『恥』なことだと思ってやらないけど、文ちゃんと奥さんは素直に助けてくれってフェイスブックとかに投げてくれた。だから何か困っているときは気軽に友達とか仲間にちょっと助けてほしいって言うことが、実はお互いをハッピーにするんじゃないか?って。

桑畑
助けてくれって言うことが、自分も周囲もハッピーになるんじゃないかということにたどり着いたんですね!

阿部
そう!そこなんですよ。

桑畑
男性は僕も含めて常にヒーローになりたいですし、女性は女性で愛とホスピタリティのかたまりですから、その愛とホスピタリティを発揮する場所を探しているかもしれないですよね?

阿部
そうなんですよ。
だから、僕はみなさんが困ったときはお願いとか助けてって言い合っていく社会を作りたいな。好きな土地に暮らすとか好きな仕事をするってすごく大事な・・・大事っていうか、自分がそれですごくハッピーに生きれてるんで、そういうことをもっと分かち合っていきたいなとすごく思っていて。・・・本当に葉山って素晴らしい場所なんで! ちょっと具体性に欠けるんですけど、葉山に暮らしていて好きな仕事をしていくとか、好きな場所に住むということに熱をもっている人ととにかくたくさん話をしたいんですよ!

桑畑
話したい?

阿部
そうなんですよ。個別に一人ひとりと話して行こうと思うので、『YUKAFUMI』っていう名前で僕は事業をやっているのでホームページでもフェイスブックでもツイッターでもいいので、『YUKAFUMI』って検索してもらえれば。そこに「今日のラジオ聴いたよ」、「好きな土地に暮らすとか好きなことを仕事にしていくとか大事なんじゃない?」と思う方は本当にコンタクト下さい! 是非話しましょう!

桑畑
ゆかふみはアルファベット?

阿部
YUKAFUMI

桑畑
ちゃんと奥様を前に出しているところが文ちゃんの素晴らしいところですよね! 3歩下がって支える・・・あれちょっと違いますかね?

阿部
うははは!

経験者ゆえのメッセージ

桑畑
結構大事なところなんですけど、これを聴いている人の中にも病気か怪我で入院されているかたがいるんじゃないかなと思っていて、そんな方がちょっとでも良いので力づけられるようなメッセージをいただければうれしいですね!

阿部
病院にいるとき、途中から僕の病室に色んな方が来てくれるようになって、その中にも病院生活を割と過ごせる人と辛い人の大きく2パターンいて。「何が違うのかな?」って思い始めたときに、物の見方だと思うんですけど、起きちゃった事故とか怪我を「どうしてそれが起きちゃったんだろう?」とか、「何で自分にそんなことが起きたんだろう?」って思うと『出口』がないんですよ。

桑畑
理由とか原因を見つけようとすると『出口』がなくなる?

阿部
そうなんですよ。そうなると自分を責めるか家族を責めるか、その状況が起きたことを責めるかで『出口』がないんですけど、病院に入ってしまった原因は一旦置いておく。むしろこれは起きて起きてしまったことで、今ここにいることは意味があるんだ。ここから何か学ぶべき必要があるんだなと意識をちょっと持ってもらうと、それだけで病院生活が全く変わると思います。

桑畑
光が射し込んでくる感覚になるんですね。

阿部
そうなんです。言葉で言ってできるかどうかってわからないんですけど、ちょっとでもそういう意識、原因追及を一回手放すときっとすごく楽になると思います。

桑畑
ハイ・・・。きっと(ラジオを聴いている方に)届いたと思います!

阿部
ありがとうございます。

桑畑
本日は『YUKAFUMI』の阿部文彦さん。通称”文ちゃん”にお越しいただきました。ありがとうございました!

阿部
どうもありがとうございました!

桑畑健

編集後記

Jump Start 株式会社
代表取締役 桑畑健

文ちゃんとの出逢いは7年前に知人を通して。文ちゃん本人は当時は「利便命」と語っていたけど、同業の僕から見たらいわゆる世間一般で言う「ウェブディレクター」とは異なるユニークな観点で素敵な活動をされていた。当時は文ちゃんは目黒区で僕は品川区。そしていま、文ちゃんは葉山で僕が鎌倉。時間を経てまた近い距離にいるなんとも不思議な縁だ。頻繁に会う仲ではないけど、文ちゃんのユニークな観点と、素敵な活動はとても気になるし、今後も刺激を受けていくのだろう。葉山で『地獄』を体験し、一回り男としてでかくなった文ちゃんの今後の活動に目が離せない。